May 15, 2020

SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE × TORCH TORCH コラボTシャツ/ 第二弾の予約受付を開始しました

原田です。
本日、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』第二弾Tシャツ5型の受注が開始になりました。


発送開始は今月末から。ご予約いただくと割引価格となりお得ですので、よろしければぜひご利用ください。


この「第二弾」とあわせて今回の「SEKIRO」Tシャツはかなりの難産商品でした。
本来であればゲーム発売(19年3月)から半月後くらいの発売を予定していたので、大遅刻ですね。
しかしそのスケジュールであれば、例えば「道順」がラインナップに加わることもなかったでしょうし、結果的には良かった……のかもしれません。

「ダークソウル」とのコラボレーションTシャツのように、去年も今年も発売して……とかそんなやり方も、こう……あったかもしれませんが……。


■SHINOBI EXECUTION



「SEKIRO」は「ダークソウル」や「Bloodborne」とは違って、彩度の高いイメージがありますね。
しかし、フロム・ソフトウェア作品ならではの「病んだ、枯れた美しさ」という部分は共通しています。

狼を正面に向けてバーン、とか、ズバッとアクション! というのはちょっとアパレルにしづらいというのと、この人の背中がやたらと良いなということで、背中を見せた少し俯き加減のデザインにしました。
なにかやはり、「病んだ雰囲気」というものをどこか漂わせたい。

最初は柿色の装束をまとったゲーム画面に近い色合いでしたが、あまりにそのまますぎるということと、「和」すぎて普段の着用に適さないということで、サイケデリックなカラーリングに再構成しました。すると、なんだか「SEKIRO」の“彩度の高いイメージ”がしっくり来て良い感じに。


透明なジェルインクで「SHINOBI EXECUTION」という文字を入れてあります。透明なので目立ちませんが、光を反射するのでリッチ感が出ます。大きく漢字で「忍殺」とも入れてみたところ、透明とはいえあまりに人を選ぶということで外しました。
ちょうど良くクールなイメージになったと思います。

※初期案です。今見るとこれも悪くないですね。

■狼
はじめは「SHINOBI EXECUTION」をコレクションの中心に据えようと思っていましたが、主人公が背中向きでグラフィカルなものだけ……というのもどうかなと思い、画家の青木薫さんに代表的なポーズのデッサン画を発注しました。
未紹介でしたので、第一弾も同時にご紹介します。

代表的なポーズといえば、僕が選ぶとやはり天守閣の弦一郎戦直前。


カットシーンだと、下半身が見えません。

「下半身はどうなっていますか?」と問い合わせたところ、フロムさんは全身の写真をお送りくださいました。
同時に、「上半身しか作り込んだポーズになっていないので、あまりこれを参考にせず描いていただいたほうが良いかと思います」
という内容のご回答をいただきました。

ということもあり、下半身はほぼ青木さんがつけたポーズになります。

青木さんのツイッターより。

青木さんは今回初めてご一緒しましたが、おそろしく上手いですね。デッサン調のイラストを発注されることは少ないらしく、とても楽しんで描けたと仰ってくださいました。

やはり「バーン!」「そのまんま!」でデザインすると、着づらいものになってしまうので「完成度6、7割のところで止めて下さい」というお願いをしました。

アタリ線をわざと残してもらい、あえてディテールを描かない部分を作ってもらいました。
Tシャツに乗せるイラストとしては最高のものになったと思います。


青木さんには、今夏に発売される新作のTシャツ(フロム系タイトルです)でも筆をふるっていただいています。ぜひお楽しみに。


■忍義手
もはやTORCH TORCHの準構成員と言っても過言ではない、頼れるイラストレーター・芳川さんのデザインです。芳川さんは熱いフロムファンで、彼のファンアートはSNSで人気を博しています。

TORCH TORCHがおこなう通常のデザイン発注はかなり細かく構図やタッチを指定するのですが、これに関しては「忍義手」をモチーフにすることだけが決まっていて、芳川さんからデザイン案を出していただきました。
ブレインストーミングしたり、色々とご提案いただく中で、この「楔丸の鯉口を切る」という構図がとても格好良くて気に入りました。タッチについても芳川さんから「ペン画でやってみたい」というお話をいただき、決まってしまえばフロムさんの修正指示も数か所のディテールの誤りを正すだけで、非常にスムーズに進みました。


よく見ると、いったん破いて再構成し、コラージュになっているのがわかると思います。さりげなくデザイン性が高まって、より着こなしやすいものになったと思います。


■破戒僧
ポーズは、フロム・ソフトウェアの北尾さんが操作・撮影してくださったものをベースにしています。フロムさんにお邪魔して、会議室で「あっ、もう少し右です。もう少しもう少し」とかわがままを言いまくりました。本当にいつもありがとうございます……。

長刀は本当に巨大なのですが、横にすると破戒僧が小さくなるし、斜めにすると袖にはみだすしおさまりが悪いしで、まっすぐ縦に立てることにしました。
おそらくTORCH TORCHでは、これまでで最も大きなシルクスクリーン版を使ったのではないでしょうか。


イラストは、こちらも芳川さんです。ドライなスケッチ風のタッチで仕上げていただきました。

破戒僧はエグみの強いキャラクターですが、この鉛筆タッチと少しずらしたレイアウトで、とても着こなしやすくなっています。芳川さんのファンアートは厚塗りタッチが多いですが、鉛筆画もペン画もなんでも描けてしまうので、ついあれもこれもと頼んでしまいます。

■葦名の天狗
一心も次の機会があればモチーフにしたいな……と思いつつ、今回は形が面白い天狗のほうをセレクトしました。ゲームをプレイしていて、とてもインパクトが強かったのです。静のポーズが似合うので、Tシャツにしやすかったということもあります。

「SEKIRO」が「The Game of the Year」を獲得したときに、TORCH TORCHでお祝いツイートをしました。
実はこれは、Tシャツのためのラフ画でした。

このラフ画をもとにしてイラストレーターさんに発注しようと思ったのですが、描いていてあまりに楽しかったので、結局自分で最後まで描いてしまいました。
お面を水彩っぽく塗りたかったのですが上手にできず、その部分だけ芳川さんにお願いしています。


これもあまりに「和」すぎるため、ロウブロウな要素で中和したかったので、プリントをグラデーションにして吹き出しを足したら中和どころか逆にロウブロウ寄りになりました。Tシャツとしては非常に良くなって、怪我の功名です。


■ピクセル弦一郎
TORCH TORCHが2016年に発表した、最初期のアイテムである


この「ダークソウル/ 8bitの篝火」は、実はひそかなベストセラーでした。
かなりたくさんの方から再販希望のお問い合わせをいただいており、ところがライセンス期間の問題でお応えできていなかったのです。

機会があればまたドットデザインをやりたいなと思っていたところ、もう、凄いじゃないですか。葦名弦一郎の、その……キャラクター性……。

あまりにも強くて、たぶん僕は勝つまでに50回以上は死んでるんですが。はじめのうちは、あれこれまたイベント戦かな? 的な、一生勝てないと思いましたよね。ところが一回克服してしまったら、逆に愛くるしく思えてきました。

「SEKIRO」は本当に、しみじみと完成度の高いゲームです。その中でもこの葦名弦一郎というキャラクターは、ゲーム史に残るといって間違いない名ボスだと思います。

なので、彼こそドットデザインになるべきだと思いました。そこにロジックはありません。なにかもっともらしいことを言いたくて……。

細部が異なりますが、ここまで作ってフロムさんに確認したところ、

「よいのですが、ちゃんとした弦一郎も出してください」

……という、言葉は違うのだが、要するにそのようなご返答がありました。

シルクスクリーンを8版も使ってしまいました


■巴流 葦名弦一郎
そんな経緯があり、当初は予定に無いながら、漫画家のヒロモト森一先生に描き下ろしていただいたのが「巴流 葦名弦一郎」です。

「ひたすらかっこよく、描きこみすぎない墨絵で」というオーダーにしっかりと応えていただきました。


鎧を脱いだ、巴流の雷モードです。ヒロモト先生のタッチにマッチしていて良いですね。

「10分くらいで描いた、勢いのある感じが欲しいです」とお願いしたところ、本当にタイムアタックのような感じで勢いよく描いたものを、何枚も何回も持ってきてくださいました。

フロムさんの一言が無ければ生まれなかったモデルです。ラインナップされて良かった。

■竜胤の御子
昨年の「Bloodborne Tシャツコレクション」では「人形」を担当していただいた、瀧川虚至さんによる描き下ろしになります。

瀧川さんとご一緒するのは三回目。毎回出るのは、「ド耽美でお願いします」というワードです。瀧川さんはガンダムなどのメカニックデザインのほうで大変に有名ですが、同時にゴシックテイストのイラストをとても得意としています。


この瀧川さんの作品がすごく好きで、この雰囲気で九郎を描いていただけたら良いなあと思ったのです。




本当に素晴らしい、気が遠くなるような描きこみで、リクエストにしっかり応えてくださいました。いつも忙しい中描いてくださって、ありがとうございます……。

■道順
■死なず半兵衛
については、ミゲルが芳川さんにインタビューをしていますので、そちらをご覧になっていただければ。

以上、長くなりましたがディレクターからの解説でした。

このTシャツを着て元気にお出かけ! とはいかない時期ですが、お家のなかで好きなSEKIROのTシャツを着てゲームをすると、とても充実した気分になりますよ。

ぜひ、TORCH TORCHのTシャツをお楽しみください。
それではまた。

原田